
はじめに
2025年11月25日以降、韓国の宇宙産業は新たな局面を迎えることが期待されています。その中心に位置するのが、韓国が独自の技術で開発した「ヌリホ」です。この韓国型衛星発射体は、1.5トン級の衛星を地球低軌道(LEO)に投入できる能力を持つ3段式液体燃料ロケットです。ヌリホの成功は、韓国の宇宙技術の自立を象徴しており、今後の展望について詳しく探ります。
ヌリホの概要
ヌリホは2010年代後半から開発が始まり、韓国航空宇宙研究院(KARI)が主導して研究開発を進めてきました。具体的には、1段目に75トン級液体エンジンを4基、2段目に75トン級エンジンを1基搭載し、合計3段構成を持っています。固体燃料と液体燃料を混合したハイブリッド方式ではなく、純粋な液体燃料を使用しているため、推力制御や再点火が可能で、多様な任務を遂行する上での利点があります。
ヌリホが注目される背景
ヌリホが最近注目を集めているのは、2021年と2022年に行われた試験発射の成果によるものです。2021年10月21日の1回目の試験発射では、ロケットの3段分離とエンジン性能の検証が目標でしたが、衛星模擬体の分離には失敗しました。しかし、この試験発射は、国内で純粋に技術開発されたロケットが宇宙発射に近い性能を示したことから大きな関心を集めました。
続く2022年6月21日の2回目の試験発射では、1.3トン規模の衛星模擬体を成功裏に地球低軌道に投入することに成功しました。これは、韓国が独自に開発した発射体として初めて衛星を軌道に乗せた歴史的な成果であり、韓国の宇宙開発史において重要な転換点となりました。
今後の展望
2025年11月25日以降、ヌリホは本格的に商業用および科学任務の衛星発射に入ると見込まれています。韓国政府は、ヌリホ発射体の継続的な改良と信頼性向上を進め、2020年代後半には1.5トン以上の衛星を地球低軌道だけでなく、中軌道や静止軌道にも投入する能力を確保する計画です。また、ヌリホの改良型であるヌリホ2、ヌリホ3の開発も進められ、さらなる搭載重量の向上と発射信頼度の確保が期待されています。
さらに、ヌリホプラットフォームを基にした月探査機の発射や深宇宙探査ミッションの支援、さらには多重衛星発射体の開発など、宇宙探査および商業宇宙サービス分野への拡張も期待されています。政府は、ヌリホの成功を踏まえ、国内の宇宙産業のグローバル競争力を強化するために、民間宇宙企業の育成や国際協力の拡大に積極的に取り組むと考えられています。
経済的影響と産業の未来
ヌリホの開発と成功は、技術的成果を超え、宇宙発射体部品の輸出、衛星製作、発射サービス産業など新たな産業創出による経済的波及効果をもたらすと期待されています。これにより、国家の宇宙産業競争力が強化され、雇用創出にも好影響を与えるでしょう。
まとめ
ヌリホプロジェクトは、短期的な衛星発射成功だけでなく、長期的には月や火星探査など深宇宙分野への進出を目指す基盤を整えるものです。韓国政府はヌリホを中心に宇宙探査に関する研究開発、国際協力、民間宇宙産業の育成を持続的に拡大する計画です。これにより、韓国はアジア内で中国、日本、インドなどの宇宙強国と競争しながら、独立した地位を確保し、グローバルな宇宙産業の重要なプレーヤーとしての地位を築く可能性が高いです。

コメント