
CBS Saturday Morningの廃止と新たな朝のニュースの形
2025年10月、CBSが発表した衝撃的な決定は、同ネットワークの長年の週末朝のニュース番組「CBS Saturday Morning」の事実上の廃止でした。この番組は、特集報道や食文化、音楽など多様なテーマを扱い、視聴者に深掘りした内容を提供してきましたが、親会社パラマウント・グローバルの大規模なコスト削減策の一環として、廃止が決定されました。
この発表は2025年10月29日に行われ、CBS Saturday Morningの多くのスタッフが解雇されるとともに、司会者のダナ・ジェイコブソンやミシェル・ミラー、エグゼクティブプロデューサーのブライアン・アップルゲートが退社することが明らかになりました。新たなフォーマットへの再編が計画されており、平日版の「CBS Mornings」チームとの統合が予定されています。この変更により、週末放送はより効率的かつ統一的な制作体制へと移行し、視聴率や広告収入の改善を目指しますが、視聴者には独自の深掘り特集が減少する懸念が残ります。
廃止の背景と経営戦略
CBS Saturday Morningの廃止は、2025年8月にエリソン家がパラマウントの経営権を取得した後、同社が進める経営効率化およびコスト削減策の一環として実施されました。パラマウント・グローバルは、視聴率の低迷や広告収入の減少に直面しており、特にストリーミングサービスにおける視聴者獲得の困難さが大きな課題となっています。CEOデビッド・エリソンは「組織内の重複を解消し、成長に向けた優先事項に沿わない役割を段階的に廃止する」との方針を示しています。
具体的には、2025年秋シーズン中にCBS全体の視聴者数が10%減少し、特に25-54歳層では20%の減少が記録されました。これに伴い、CBSは約100人のニュース部門スタッフを削減し、ストリーミング向けの関連番組『CBS Mornings Plus』および『CBS Evening News Plus』の打ち切りも発表しました。さらに、南アフリカのヨハネスブルグ支局が閉鎖され、報道の管轄がロンドン支局に移管されることになります。
視聴者への影響
新たに統合されるCBS Saturday Morningは、平日版CBS Morningsチームと同様の構成になる予定であり、これまでの独自性を失う可能性があります。視聴者にとっては、深掘り特集や文化、食、音楽に関する多様なコンテンツが減少すると予想されます。視聴率や広告収入の改善を目指す一方で、特に若年層やデジタルネイティブ層の獲得を目指したコンテンツの刷新が期待されています。
今後の展望とデジタル戦略
2025年11月以降、CBSニュース部門は引き続きデジタル戦略を強化し、ストリーミング配信の最適化や新規コンテンツ開発に注力する方針です。また、AIやデジタル技術の導入によるニュース制作の効率化も検討されています。これにより、制作体制は一層効率的かつ迅速になり、視聴者のニーズに応える新しい形のニュース番組が期待されます。
業界全体の動向とCBSの戦略
CBSのこの動きは、米国のテレビニュース業界全体に見られる週末特集番組の縮小傾向を象徴する事例とも言えます。パラマウント・グローバルは、UFCの放映権獲得やデジタルメディアの買収に積極的であり、伝統的なニュース部門とのバランスを模索しています。視聴率低迷は特に若年層のテレビ離れによるものであり、CBSも競合他社に遅れをとらぬよう、経営資源の最適配分を続けるでしょう。
まとめ
CBS Saturday Morningの廃止は、視聴者にとって寂しいニュースであると同時に、メディア業界の変革を示す一例です。今後のCBSの取り組みや新たなフォーマットがどのように展開されるのか、注目が集まります。

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