MSCIの進化と2025年以降の投資トレンド

MSCIの進化と2025年以降の投資トレンド
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MSCIとは何か?

MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は、1968年に設立されたアメリカの金融サービス企業で、世界的に著名な株価指数の提供者です。ニューヨーク市の7ワールドトレードセンターを本拠地として、株式、債券、不動産指数、多資産ポートフォリオ分析ツール、ESG(環境・社会・ガバナンス)および気候関連金融商品をグローバルに提供しています。

2025年現在、MSCI指数に基づく資産規模は16.5兆ドルを超え、指数利用に対しては投資総額の約0.02%~0.04%の使用料が発生します。代表的な指数には、MSCIワールド指数、MSCI新興市場指数、MSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(ACWI)などがあり、これらは世界の投資ファンド、特に上場投資信託(ETF)のベンチマークとして広く利用されています。

MSCIの歴史と成り立ち

MSCIの歴史は1968年に始まり、Capital Internationalによる非米国市場のグローバル株式指数の発表がきっかけです。1986年にモルガン・スタンレーが権利を取得し、MSCIブランドが確立されました。2004年にはリスク管理やポートフォリオ分析の分野でのリーダーシップを強化するため、Barra, Inc.を買収。2007年から2009年にかけてはモルガン・スタンレーからスピンオフし独立企業となり、現在は6,132名の従業員を擁し、機関投資家や資産運用会社に高品質な指数と分析ツールを提供しています。

MSCIの現在のトレンド

2024年から2025年にかけて、MSCIが注目される理由は、グローバルな資産運用市場における指数の基準的地位の強化と、ESGおよび気候関連投資ソリューションへの戦略的注力の拡大です。特に投資家の間でサステナビリティとリスク管理への関心が高まっており、MSCIは気候変動リスクを反映した指数やESG評価を組み込んだ製品群を充実させています。これにより、機関投資家の投資戦略に不可欠なツールとして機能しています。

最新の財務状況と市場影響力

2024年度の財務データによれば、MSCIの売上高は28.6億ドルに達し、指数運用に基づくライセンス収入が安定的に増加しています。これにより、MSCIの市場影響力は一層強化されています。加えて、米中関係の緊張や地政学的リスクの高まりに伴い、新興市場の指数編成やリスク評価の重要性が増しており、MSCIの専門的なデータ分析能力が求められています。

2025年以降の予測

2025年6月25日以降、MSCIは金融市場における指数および分析サービスのリーダーシップをさらに強化する見込みです。ESG投資の世界的潮流が加速する中、MSCIのESG評価指標や気候リスク関連商品は規制強化や投資家の要望に支えられて拡大を続けるでしょう。これにより、企業の非財務情報の開示基準が国際的に統一される動きと連動し、高精度なデータ収集・解析技術の開発にも注力する見込みです。

また、AI(人工知能)やビッグデータ解析を活用した新たなリスク管理ツールやカスタマイズ可能なポートフォリオ分析サービスが登場し、顧客の多様なニーズに応じた柔軟なソリューションを提供できるようになるでしょう。プライベートマーケット分野においても、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティのパフォーマンス評価指標の標準化をリードし、透明性の向上や市場の流動性促進に寄与することが期待されます。

デジタル資産とフィンテックの進展

MSCIはデジタル資産や新興金融技術(フィンテック)領域への指数開発を進めており、新興市場やフロンティア市場を含む幅広い資産クラスをカバーする製品ラインナップが拡充されることが予想されます。これにより、MSCIはグローバルかつ多様化する資産運用ニーズに応え、持続可能な投資の推進役としての地位をさらに強固にするでしょう。

まとめ

2026年以降には、MSCIの指数利用資産残高が20兆ドルを超える可能性があり、市場支配力は一層増大すると考えられます。企業価値向上のためのESG要素の統合が進む中、MSCIは単なる指数提供会社を超え、グローバル投資環境の複雑さに対応するためのトータルソリューションプロバイダーへと進化しています。

参考情報

  1. MSCI – Wikipedia
  2. MSCI World – Wikipedia
  3. MSCI公式サイト
  4. MSCI ESG評価
  5. ESGファンド評価の詳細
  6. 2025年の最も持続可能な企業
  7. ESG業界の重要性マップ
  8. ESG評価の検索ツール

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相馬諒太 / Trendioリサーチ部
トレンド情報&投資リサーチ担当。データサイエンスを学びながら色々なサービスを個人開発しています。

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