コチン造船所(Cochin Shipyard)の最新決算結果と今後の展望

コチン造船所(Cochin Shipyard)の最新決算結果と今後の展望
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コチン造船所(Cochin Shipyard)決算結果の概要

2025年11月13日、コチン造船所(Cochin Shipyard Limited, CSL)が発表した最新の決算結果は、インド政府が完全に所有するこの造船企業の堅調な業績を示しています。1972年設立で、インド最大級の造船・修繕業者として知られる同社は、ケララ州コチを拠点に、バルクキャリアや小型船舶、プラットフォーム供給船、アンカー取り扱いタグ供給船などの高度技術船舶の建造と修理を行っています。特に、世界各国に約45隻の船舶を輸出し、国内外の需要に応じた製造能力を誇っています。

2024年度の市場時価総額は約4兆5,505億ルピー、株価は1,730ルピー前後で推移しています。無借金経営を維持し、配当性向は42.9%と安定していますが、過去5年間の売上成長率は5.76%と緩やかで、株価は簿価の約8.4倍で取引されており、割高感が指摘されています。ROEは過去3年間で約13.5%と低めで、355クロールピーに及ぶその他収入が含まれている点が財務分析上の留意点です。

最近の業績と市場動向

2025年10月23日、コチン造船所はインド海軍向けの8隻の対潜水艦戦闘艦(ASW SWC)の第1号艇『Mahe』の引き渡しを完了し、同社の技術力と納期遵守能力の高さを示しました。この成功は、インドの国防近代化政策に貢献し、防衛関連の受注拡大に弾みがつくことが期待されています。また、同社は最近、スタートアップ支援政策を打ち出し、マリンテック分野での技術革新促進に力を入れています。

最新の決算データによると、2024年度から2025年度にかけて、収益は4,528クロールピーから4,795クロールピーに増加し、営業利益も改善傾向にあります。債権回収期間は33.2日から18.5日に短縮され、資金繰りの健全化に寄与しています。プロモーターの持ち株比率は過去3年間で約5%減少したものの、政府主導の強固な経営体制が維持されており、財務の健全性と配当政策の継続が評価されています。

今後の展望と成長戦略

2025年11月13日以降、コチン造船所はインド政府の防衛近代化計画および海洋戦略の推進に伴い、対潜水艦戦闘艦(ASW SWC)をはじめとする軍用船舶の受注が増加すると予想されます。この流れにより、2026年度から2028年度にかけて売上高は年率10%以上の成長が見込まれ、営業利益率の改善も期待されています。

特に、環境規制の強化に対応したグリーン船舶の開発や、デジタル化・自動化技術の導入による生産効率の向上が業績拡大の鍵となります。加えて、同社が推進するスタートアップ支援政策により、革新的なマリンテック技術の取り込みが進み、新規事業創出や海外市場への進出も加速する可能性があります。

財務面では、無借金経営を維持しつつ、配当性向を40%前後で安定させる方針が継続される見込みで、株主還元も引き続き重視されるでしょう。国際的には、アジア太平洋地域を中心に商業船舶の需要が回復基調にあるため、輸出船舶の受注増加も業績押し上げ要因となります。

リスク要因と持続可能な成長戦略

ただし、鋼材価格の変動、国際政治情勢の不透明感、円滑な技術移転や人材確保の課題など、リスク要因も存在します。これらを踏まえ、コチン造船所は技術革新と生産能力の強化を継続し、持続可能な成長戦略を推進することが求められます。将来的には、インドを代表する造船企業として、国内外の防衛及び商業船舶市場での競争力を一層高め、2028年以降の収益基盤の確立を目指す展望が描かれています。

参考情報

  1. Cochin Shipyard Limited – Screener
  2. Cochin Shipyard Official Website
  3. Cochin Shipyard – Wikipedia
  4. Cochin Shipyard Share Price – Aaj Tak
  5. Cochin Shipyard Stock Price – Moneycontrol
  6. Cochin Shipyard on Groww
  7. Cochin Shipyard – Google Finance

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相馬諒太 / Trendioリサーチ部
トレンド情報&投資リサーチ担当。データサイエンスを学びながら色々なサービスを個人開発しています。

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